Horner-Wadsworth-Emmons Olefination

Horner-Wadsworth-Emmons Olefination
「やっぱり人名反応は合成のためのものだよね」という話になったときに、そこで選ぶのは「Beckmann転位」でもいいのだけれど、そこでこっちを選んだのは、この人名反応の反応剤が好きだから。
断腸の思いでエコロジーな物質を使って、それでもリンが外せないのが、どうしても俺の心をつかんでしまうのは、その「有毒性」ということへの諦めきれなさがいかにも有機反応的だなあと思えてしまうから。
リンの有毒性を俺自身は冗長とは思わないし、そこまで危なくないだろうとは思うけれど、一方でこれが金属だったらきっちり有毒にしてしまうだろうとも思う。
なのに、各所に頭下げて迷惑かけて有毒になってしまう、というあたり、どうしても「自分を形作っている有毒性が捨てられない物質」としては、たとえHorner-Wadsworth-Emmons Olefinationがそういう反応でなかったとしても、親近感を禁じ得ない。Horner-Wadsworth-Emmons Olefination自体のカルボニルからオレフィンを形成する有用性と合わせて、そんなことを彼女に話してみたい。