輪講の話

まぁ、修士にもなると輪講なるものがある訳で、去年まではM1は免除だったんだけど、今年の後期からなぜかM1もやらないといけない事になり、ちまちまやってる訳です。


で、選んだ論文がコレ


Total Synthesis and Stereochemical Assignment of (−)-Ushikulide A


選定基準

  • JACS or Angew or Nature or Science
  • 全合成
  • Article or Fullpaper
  • 有名人

で、全部の選定基準に全部ハマったのが上述の論文だった訳です。
1/3ぐらい読んだけど、ヤバい。
ホントに全合成の教科書のような論文。


ありとあらゆる立体制御を駆使してるし、鍵反応は鍵反応で譲らない部分もあるし。
まぁ、google:Ushikulideググるといろんな合成屋さんがこの論文とその前に出てるCommunicationについては書いてるっぽいので、そういうのを見てるとまぁ外れではなかったなぁと思う。
ただまぁ、リファレンスが恐ろしい量あったり、大変だけど。


来週中には一通り読んで、その後は類縁体の合成を軽く追っかけて、最後に細部を詰めたい次第。

社会・会社関連

それと、ドクターに行くネガティブな理由だけを考えればいいんじゃなくて社会に出て働いた場合のメリット・デメリットを考えないといけない。


まぁ、多分このまま行けば研究開発関連分野に行く事になると思うんだけど、その時のメリット・デメリットを考えてみる。


まずはメリット。


1:今と違う分野に触れられる可能性がある
今やってる研究分野は、仮にドクター行った場合も継続すると考えられる。
6年間似たような基質を扱ってるのはその基質についてのスペシャリストにはなれるけど、逆に言うと別の基質を扱う機会を失っている。
まぁ、これはドクターに行った場合のデメリットでもあるんだけど。
今の専門から言えば、その専門を離れられるっていうメリットがある。
特に私のような知的好奇心の塊みたいな人間は、別の刺激を求めている部分があって、その別の刺激に触れられるメリットがある。


2:お金
言わずもがな。授業料を払わなくていいというのは非常に大きなメリット。


3:時間
これもドクターに行くデメリットの裏返しになってしまうが、会社というのは基本的に就業時間が決まっているし。
少なくとも現状より自分の時間が持てる可能性が高い。


4:働いた事に対する対価が得られる
まぁ、大学の研究室ではある意味で自分で積極的に研究する理由がない。
学位って言うのを考えるとそれはモチベーションになり得るが、前述したように私は学位に対してはメリットを感じていないので理由にならない。
それに対して営利企業って言うのは結果を出せばそれが通常給料に反映されて、ある意味で積極的にやる理由付けが大学より強い。


デメリット


1:自由にやれない
どうしても営利企業なわけで、必ずしも自分のペースで出来る訳じゃないし、もちろん絶対にやりたくないこともお金を貰っている以上やらないといけないこともある。
ただここはある意味でどうにかなると思っていて、それを「楽しむ」ことが出来ればそんなに問題にならないと思ってる。どうにかなるでしょう。

大学関連

早速だけど、まずは多いであろうデメリットから


1:時間がない
研究室の拘束時間が長過ぎる。
現状14時間ぐらい拘束されてて、とてもじゃないけど自分の時間が持てない。
やりたい事が研究だけな人間だったらいいけど、他にいろいろやりたいなー、と考える無理。何も出来ないのでどうしようもない。
まぁ、今やってるもの以外にもそれなりに勉強したいものがあるわけで、それをやってる時間がない。


2:人間関係
これに関しては
かなり研究室依存なわけですが。
もう少し言っておくと、研究室に関してもあるし、アカデミックな世界に関してもある。


3:学位
ドクターの学位って高い専門性を示す。逆に言うと、人によってはそれしか出来ないという評価をされてしまう。
それは非常に残念だし、まぁ正しい評価をしてもらえれば問題ないんだけど、単純にそういう見方をされる恐れがあるっていうのはマイナスだと思う。
別に学位目的でドクターに行く訳じゃないから、そういう所は逆に私の中ではマイナス評価。


4:金銭面
学振DC1だったり、G-COEだったりまぁ、お金に関していえばいろいろサポートがあるのはありがたいんだけど、お金が貰えるのは同時にマイナス。
ちゃんとした額(それこそリーマンの初任給並)が貰えればいいんだけど、授業料を払う事を考えると額が中途半端すぎてどうしようもない。
扶養を外れてしまって税金だったり保険だったりでそれなりに持っていかれる。
学振DC1取れればお金的にはそれなりにあるんだけど、それでも授業料くらいは親の援助が必要になってくるのはほぼ確実で、まぁもうずいぶん迷惑をかけている事を考えているとそこまで親に甘えてもいられない。
あと、G-COEは政権が変わったのがあって、いろいろ不安要素が多い。
自民党政権でドクター学位取得者を増やす政策をやったわけだけど、民主党政権でどうなるか不安。
特に高等教育に関する政策が見えてこないので、そんな状況で今と同じ支援が得られると期待するのは危険。
そこら辺絡みだと、国策に乗るのもイマイチ気に入らないっていう個人的事情もある。


こんなもんか。


逆にメリット。
これはひとつしかない。


学問的興味


ただそれだけ。で、これについては理由を書くまでもないでしょう。
今しか学位は取れないっていう人が私の周りには割といるんだけど、確かに今の分野では体力的にしんどい気はするんだけど、別に今の分野を将来的に続けていく保障は皆無な訳で、社会に出て別の分野を勉強して、そっちで学位を取る可能性もある。
それは理由にならないと思う訳です。
化学に関しても、化学以外に関しても、興味のある分野はある訳で、そこはまだ本当に専門的な所までに触れてない。
そこに関しては、自分の可能性を信じたい。